August 28, 2007
「ブラバン」津原泰水 著
読み終わった。私ぐらいの世代が読むことを想定して書かれたのだろうか。とある高校の吹奏楽部のＯＢ．ＯＧが，当時のメンバーの一人の結婚披露宴で演奏するために再び集まってバンドを結成する話。
高校を卒業していったメンバーそれぞれが，それぞれの人生を歩み，それぞれの状況の中で生きている。私自身が卒業したＦ高校のＯＢ，ＯＧも，同じようにそれぞれの人生を歩んでいるんだろう。Ｆ高校には一時，ＯＢバンド結成の話があって，実際に演奏会も開いたのだが，それっきりになってしまった。今の私なら，ＯＢバンドが結成されるという話があればコントラバスを担いででかけるのだろうが，あの頃は楽器もなく，会場へ顔を出すこともなかった。
この本の著者の津原泰水さんは，物語の主人公と同じように高校でコントラバスを弾いていたのだそうだ。吹奏楽の中でのコントラバス弾きの心理描写なんかが妙にリアルだった。
本のタイトルになっている「ブラバン」という言葉。「ブラスバンド」と呼ばれる演奏形態は今でも確かにあるが，吹奏楽部を「ブラバン」と呼んでしまう日本的な表現は，もう死語になっているんだろうな。
この物語，人間関係が意外な所で意外な関連をしていたりして，もう一度読み返せば，さらに深く沁みる物語なんだろうなと思う。
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