April 27, 2009
「最後のパレード」は盗用？
今、書店に行くと、おそらく一番目立つところに「最後のパレード」という本が山積みになっている。東京ディズニーランドでの心温まるエピソードを集めたという、感動本だ。ところが、この本に書かれているエピソードが、あちこちから盗用したエピソードらしい。特に、問題の中心になっているのが「大きな白い温かい手」というエピソードだ。このエピソードは、平成18年に社団法人「小さな親切」運動本部が行ったキャンペーンで日本郵政公社総裁賞を受けた作品で、読売新聞に掲載されたのだそうだ。しかも、このエピソードの作者によれば、このエピソードは東京ディズニーランドではなく、地元の遊園地でのできごとなのだそうだ。
このニュースを追っていくと、初めは口を濁していた著者や出版社が、だんだん盗用を認める発言になり、けっきょく謝罪している。
本の内容が内容であるだけに、なんとも興ざめな話だ。出版したサンクチュアリ・パブリッシングの鶴巻社長のコメントは、「弊社は著者の中村氏から初めてこの原稿を受け取ったとき、私たちが忘れかけていた「人を思いやるこころ」「やさしさを感じるこころ」が伝わってくる温かい内容だと思い、この本を出版しました。ほんの少しだけでもかまいません。本書をお読みいただければ、私たちが伝えたいメッセージはきっと感じていただけるものと信じています。」という言葉で結ばれているが、だからこそ盗用などが微塵もあってはいけなかったのではないか。
私もすでにこの本は読んだが、読んでいて、「この話は他の本でも読んだよなあ」と思えるものがいくつかあった。
もっと気に入らないことがある。
この本は、ひとつひとつのエピソードの後にそれぞれコメントがついている。そのコメントが、どう読んでも東京ディズニーランドがコメントしたようにしか読めないのだ。ひとつひとつのエピソードについて、東京ディズニーランドが事前にどのような態勢をとっていたのか、どのような理念でそのような対応をしたのかというようなことが、コメントとして書かれている。この本は、東京ディズニーランドに許諾を得て出版されているわけではないので、このコメントは大きな問題ではないのだろうか。著者の中村氏は、実際にオリエンタルランド社に入社し、キャストの指導などを15年間やっていた人だそうだから、そのようなコメントを書くことは可能なのだろうけど。
出版社側は、盗用を認めながらもこの本の販売を停止する気はないようだけれど、このようなていたらくでは、結局発売停止になるんじゃないだろうか。
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