January 29, 2012
綱揚げ
一般的には何という名前なのだろうか，この菓子。小麦粉で作ったものを揚げてあるらしい。あられの一種か。この菓子が入っていた袋には，「たつまき」と書いてあった。「綱揚げ」とか「横綱」とか書いてあったこともあるような気がする。
この菓子，私にとっては，食べ始めるとやめられなくなってしまう菓子だ。この微妙な塩加減と，揚げた菓子の香ばしさが後を引く。
まだ小学生だった頃，妹といっしょに，いつも行く近所の駄菓子屋で，この菓子を1袋ずつ買ってきた。けっこう大きな袋だったが，1袋20円だった。
家に帰って食べようとしたところで，妹が買ってきた袋がこの綱揚げではないことに気づいた。綱揚げのように，ちょっとひねってあって，縄目のような模様もあるが，綱揚げより細身の菓子だった。袋には，「かっぱえびせん」と書いてあった。あの頃は，かっぱえびせんは今ほどメジャーではなかったように思う。値段は，1袋30円だった。
困った。私たちも，駄菓子屋のおばさんも，これを綱揚げだと思い込んでいた。だから，20円しか払ってこなかった。このまま食べてしまおうかとも思ったが，10円の差額が良心をちくちく刺激した。
けっきょく，2人で駄菓子屋へ行き，かっぱえびせんを返して綱揚げと交換してきた。
正直に返しに来た私たちを，駄菓子屋のおばさんはほめてくれて，「今度，おまけしてあげるでね」と言ってくれた。あれからもう40年以上経ってしまったが，まだおまけしてもらっていない。もっとも，そのおばさんももう何年も前に他界されたし，駄菓子屋もなくなって，今はジュースとたばこの自動販売機だけがその家の前に立っている。
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