July 31, 2015
コンクール、終わりました
本番の演奏は、もちろん「完璧だった」とは言えないのだけれど、「失敗することが多かった所」「ピッチがよくずれた所」などの心配だった箇所が、わりあいうまくいった。そして結果発表。
昨年が、２５校中２１位の銅賞だった。
今年は、そりゃあ金賞であるに越したことはないけれど、贅沢は言わない。せめて銀賞であってほしい。真ん中、２６校中１３位以上であれば言うことはない。
そんな気持ちで結果発表を聞いていた。
２６校中、９位までが金賞。県大会へ出場できる。
２６校は、昨日と今日の２日に分けて１３校ずつ演奏している。順位は、２６校をまとめてつけられ、今日、発表される。
結果発表が始まった。
演奏順に、賞が発表され、表彰されていく。
演奏順１番の学校が、いきなりゴールド金賞。以下、１日目の学校の結果発表が終わる前に、次々と金賞が出ていく。壇上に並んだ金賞のトロフィーが、次々と消えていく。今日聴いた何校かの中にも、うちより上手いバンドはいくつもあった。これでは、とても９位以内に入っている可能性はない。下手すると、また今年も銅賞かも。
そしていよいよ本校の番。
「１６番、Ｉ中学校、銀賞」
金賞をとれなかった失望と銅賞でなかった安堵が入り交じったため息が、生徒の中から湧いた。
プレコンクールでは、最低の評価だったのだ。銀賞がとれたのだから上出来だ。
閉会式が終わり、本部へ集計用紙と講評用紙を受け取りに行った。
集計用紙の入った封筒を受け取り、さっそく中を見る。
銀賞と言ったって、金のすぐ下の銀もあれば、銅のすぐ上の銀もあるのだ。うちの学校が、何位だったのかがすごく気になる。そして、プレコンクールで高評価を得ていた隣の学校との差は、どれぐらいだったのだろうか。
集計表の中から、うちの学校の名前を見つける。そして、順位の欄を見る。
「……え？」
１０位。銀賞のトップだった……。
あと１つ順位が上なら、１週間後に県大会だった。
天井と床が入れ替わるような感覚に襲われた。
あと１歩で金賞を逃したという悔しさではなく、銀のトップだったという嬉しさの方が込み上げてきた。
去年は、２５校中２１位だったのだ。
今年のメンバーが、特別抜きん出ていたわけではない。むしろ、課題は大きかった。正直、練習をしていて、「今年も銅賞か……」と思ったことが何度もあった。
吹奏楽部の活動も、けっして順調だったわけではない。
部員同士の心のすれ違いが大きくなり、お互いの心の中に溜まってたものを出し合って、泣きながらミーティングをしたこともあった。
でも、あのミーティングを境に、返事の声の大きさが変わったし、服装や生活態度も変わったし、弁当の時間は全員で輪になって食べるようになった。
何より、練習に対する意識が変わった。
そんな生徒たちに、女神ミューズがご褒美を下さったのだろう。
会場前の広場に集合してる生徒の所へ行くと、さっそく
「先生、何位だっけ？」
と聞かれた。
全員を集めて、話をする。
私「今日はお疲れ様。結果は、残念ながらという言い方になるのかな。でも、銀賞と言ってもいろいろな銀賞があります。やっぱり、順位が気になっている人が多いと思います。……、順位、言っていいかな？」
生徒「待って！心の準備が……」
生徒「言ってください。……、あ、やっぱりちょっと待って」
私「もう、言っていい？では、言います。順位は……」
生徒「あ、今、『順位は』を『１０位』って言ったかと思った」
私「順位は…………………………１０番！」
金賞をとったかのごとき歓声が上がり、泣き出してしまった。
これで本当に金賞をとったら、どうなっちゃうんだろう。
でも、本当に大変なのはこれからだ。
これまでは、金賞は「夢」だった。
でも、銀賞のトップになってしまったからには、来年は金賞が現実の「目標」だ。
「金賞がとれればいいな」「ゴールド金賞がほしいな」ではなく、「ゴールド金賞をとる」が目標になったのだ。
そのための練習をしていかなくてはならない。
休日は１日の休みもなく練習をしている他市の学校に太刀打ちできるだけの練習をしていかなくてはならない。
後戻りは……嫌だ。
これまで、うちの吹奏楽部を見捨てずに指導してくださった講師の先生方、そして保護者の皆様、本校の職員（特に、吹奏楽部のサポーターでいてくれる教務主任）に感謝。
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